あたりまえの生活をもう一度考える

宮田 守男(信大地域フォーラム代表)

 12月10日、信大地域フォーラム主催で「震災支援の現場から支援者は食・老・死と如何に向き合ったか」をテーマにフォーラムを開催した。2011年3月11日の東日本大震災、翌12日に長野県栄村を襲った長野県北部震災、その後も継続する福島第一原子力発電所の放射性物質漏れ事故、私達の暮らしは根底から見直しが迫られる事になった。こうした出来事をきっかけに、普段の生活の中で、生・食・老・死と丁寧に向かい合いたいとの願いから実現した場でもあった。フォーラムのメンバーは大学院の修了生と在校生。宗教観も異なるメンバーだ。普段では決して触れない宗教に関するテーマだが、具体的に向き合うと、宗教に関係してしまうのも事実。現実を直視するには、宗教的視点も必要と、話を重ねるごとにメンバー、一致した意見に集約される。場所は松本市の東昌寺の本堂、曹洞宗の寺院だ。住職は大学院に在籍する私達のメンバー、震災直後南相馬市の避難所で支援活動にも参加している。看護師の資格を持ち、患者と家族が望む看取りをテーマに研究、今回のテーマには欠かせないスタッフだ。パネリストには、今回被災体験された福島県昌建寺の秋住職、阪神淡路大震災・新潟中越地震・能登半島地震をはじめ多くの被災地支援活動に参加、今回も山田町・陸前高田市での被災直後の支援や釜石市などの仮設住宅で支援活動を継続している秋田県宝昌寺の新川住職、東日本大震災の被災者支援で設立された「いっしょに歩こうプロジェクト」の活動を展開している軽井沢ショー記念礼拝堂・上田聖ミカエル及諸天使教会の土井牧師に加わっていただく。パネリストの支援現場の現場報告、新聞やテレビで悲惨な現況は理解しているとの考えの希薄さが恥ずかしくなる。スクリーンに映し出された現場の状況、三者三様の切り口、被災者の立場を理解しなくては決して切り取れない場面が続く。破壊された現場で懸命に生きる声が伝わってくる。
 第二部では私達が聞くだけの受け身であってはいけないとの考えで、カフェ型トークの会議スタイルにした。リラックスした雰囲気の中で、様々な背景を持つ人達との会話を楽しむスタイルだ。テーブル毎にテーマを設定し、机上に用意した模造紙に自由にメモを描きながら30分間の話し合いをする。そして自由に席替えして対話を続け、最後にテーマ毎に取りまとめ。とかく会議は、自分の意見を通したい発言や正しい答えを導きたいとの思惑が多い。しかし大切なのは結論で無く、知的刺激や新しい視点の発見であり、他者の意見を聞く事が大切と分からせてくれる会議スタイルだ。テーブルの責任者は限られた時間の中でのフリートーク、長い発言には「それは、こうゆうことですか」、斬新なアイディアには「それ、いいですね」と合いの手を入れてテーブルの方向性を見出して行くメンバーの姿に思わず微笑んでしまう。積極的な取り組みがメンバーを成長させるのだと確信する。
 様々な考えが模造紙に書き込まれる。当たり前の事を真剣に考える機会は限られている。それ故に今回の一連の出来事は多くの国民が複雑な想いを持ったに違いない。使いたい時に電気が使え、食べたい時に何がしかの食料に有りつける当たり前の生活を本気に考え直さなくてはという思いにさせられた。私自身も今年、還暦を迎える。生かされている時は、もっと積極的に活動を続けなくてはと気付かされたフォーラムでもあった。

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